投資の専門家が注目する「3大財閥系」銘柄18
ただし、メリットだけではない。財閥グループは歴史的に重厚長大型企業が多く、IT企業や医薬品、半導体、EV(電気自動車)といった今後の成長が見込まれる分野が手薄なことが弱点とされる。
その面でも、好業績で得た資金を投入して急速に対応が進んでいた。商船三井は、燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして注目されているアンモニアを燃料として航行する大型の「アンモニア輸送船」の開発に着手、日本郵船も「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶」の開発に挑む。住友林業はオーストラリアのメルボルンで15階建ての木造オフィスビル開発を進め、日本でも「あべのハルカス」(大阪市)を超える高さ350メートルの超高層木造ビルの構想に取り組んでいる。
いずれも温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる「カーボンニュートラル」に対応する新技術の開発で世界をリードしようというものだ。
日本が遅れているIT分野は、三菱UFJが中心になってデジタル通貨「DCJPY」(仮称)を試験的に発行し、2022年後半の実用化を目指す。
半導体分野では、住友金属鉱山が半導体ウェハー事業に進出、三菱ケミカルホールディングスはドイツで半導体精密洗浄技術に1000万ユーロを投資するなど、世界的な競争力を持つ財閥系の素材産業が本格参入する。
医薬品分野にも注目すべき動きがある。
「三井化学が12月7日に日本MDMと資本業務提携をすると発表し、日本特殊陶業が保有していた株を引き受けた。日本MDMは医療機器の開発製造と輸入販売を行なう会社です。今後、成長が期待される医療分野にM&Aの形で参入強化を図ろうというのです。
財閥系企業は懐が深いので、自社のリソースで医薬分野を広げることもできます。例えばキリンホールディングスは傘下にバイオテクノロジーや抗体医薬に強い協和キリンを持っている。ここを育成していく形で、医薬分野を拡張していく可能性がある。医薬分野は有力な医薬ベンチャーをM&Aで獲得してビジネスを拡大していく時代なので、その点、財務力が強い財閥系企業にはポテンシャルがある」(天野氏)
長い歴史を持つ財閥系企業は資産や内部留保が厚く、三菱グループだけでも80兆円の現預金を持つという試算もある。そうしたあり余る資金で、この機会に世界で戦える最先端企業群へと脱皮を図ろうとしているのだ。