景気回復の兆しのなかで、いち早く大復活を印象づけているのが、三菱、三井、住友の三大財閥系企業だ。その波及効果は、日本経済全体を押し上げる勢いにもなっている。
三菱グループでは、“御三家”の業績が復活。三菱UFJフィナンシャル・グループが中間決算として最高益を更新したのをはじめ、三菱商事も経常利益が最高益、国産ジェット旅客機開発で巨額の損失を出した三菱重工業も自動車部品の回復などで黒字に転換した。
さらに三菱地所、三菱電機も増益、日本郵船は中間決算の大幅増益に加えて通期の業績予想も前年比5倍の純利益7100億円になると上方修正。前年同期に496億円の赤字に苦しんだ三菱ケミカルホールディングスは851億円の黒字と文字通りV字回復を果たすなど、グループの主要企業が軒並み好決算に沸いた。
三井グループでは、三井不動産が純利益9.5倍(前年同期比)、三井化学が純利益7.7倍(同)、三井物産、東レ、デンカも増収増益で、商船三井は中間決算の好業績のうえ、通期予想も前期比5.3倍の純利益4800億円と過去最高益を更新する見込みだ。
住友グループも住友林業、住友金属鉱山、住友化学が通期で過去最高益を更新する見込みだ。
こうした好業績を受けて、株式市場でも「財閥系銘柄」に注目が集まり始めている。マーケットアドバイザーの天野秀夫氏が語る。
「放送中のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で明治維新の海運会社の設立当初が描かれたことに連動する形で、海運株が人気を集めています。
コンテナ不足から海運の運賃価格を示すバルチック海運指数が上昇し、三菱系の日本郵船も三井系の商船三井も業績が絶好調。加えて海運株は高配当ということもあって投資家の買いを集め、今年に入ってから株価はいずれも3倍以上となっており、この上昇基調は当面続くと市場では見られています」