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抜かりなく生前贈与をしたつもりでも…相続時に待っていた落とし穴

 贈与する人が子供や孫の名義で銀行口座を作り、そこに預金をするだけでは、贈与で財産を移転したことにはならない。贈与者が受贈者の印鑑や通帳の管理をしていれば、なおさら「名義預金」とみなされやすいという。

「贈与契約は、贈与者と受贈者がそれぞれ意思表示をしてはじめて効力を生ずる契約です。失敗しないためには、生前贈与を行なう際に贈与契約書を作成すること。必ず、贈与のたびにその事実を明確にしておきましょう」

 年末の税制改正大綱では、暦年贈与の撤廃とともに、生前贈与の“持ち戻し期間”の見直しも議論されているという。

「現行制度では、亡くなる前の3年以内の贈与は相続税の加算対象となります。たとえば、余命宣告を受けた人が2人の子供にそれぞれ500万円を2年にわたり慌てて贈与し、贈与税の申告手続きと納付を遅滞なく行なったとしても、3年以内に亡くなれば計2000万円は贈与と認められません。せっかく相続税対策で贈与をしても、結局相続税の対象になるなら意味がない。

 次の改正でこの持ち戻し期間が延長されるとなれば、贈与による相続税対策はこれまで以上に計画的に行なうことが重要になります」

※週刊ポスト2021年12月24日号

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