黒田氏が勧めるのは、「高額医療・高額介護合算療養費制度」の利用だ。
「1年間の医療費と介護費の自己負担を合算した額が、一定の限度額を超えた場合に還付される仕組みです。たとえば、69歳以下で標準報酬月額が28万~50万円の場合、世帯の医療費と介護費の合計が年67万円を超えると、その分が返ってきます。ただ、合算制度に該当するか否かの判断は難しいので自治体の介護保険担当窓口で確認することをお勧めします」(同前)
「介護費は本人のお金で賄うという考え方も大事」と黒田氏は続ける。
「(前述の)補足給付を受けるには『資産要件』として預貯金額の上限が設けられており、2021年8月の見直しでこれも厳格化された。単身世帯の上限は1000万円でしたが、収入に応じて500万~650万円以下に引き下げられました。多少の預貯金を持っているために補助を受けられなかったケースも実際に聞くことがあるので、むやみに子が支援するより、日頃から親の介護費用は親の預貯金から捻出するようにしたい。将来の相続税対策としても有効です」
制度をフル活用して負担増に立ち向かいたい。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号