12月14~15日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)がマーケットの注目を集めていたが、今後の株式市場や為替相場にどういった影響を与えるのだろうか。株やFX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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今回のFOMCで、政策金利は据え置きとしながらも、テーパリング(量的緩和縮小)のペースは、2倍に加速させることが決定しました。資産購入プログラムは米国債とMBS(住宅ローン担保証券)を合わせて、月額300億ドルのペースで縮小するため、資産購入の終了予定時期は当初の2022年の半ばより、早まる格好となります。また、今後の利上げ見通しについては、2022年中に3回の利上げが示唆されています。
ただ、こうしたFOMCの結果は、市場関係者の想定の範囲内だったと思われ、マーケットもすでに織り込んでいたのではないでしょうか。「織り込む」とは、次に起こり得る内容をもとに投資家がポジションを先取りすることで、予想通りのニュースが出たらマーケットは動かず、予想外の材料が現れると、織り込まれていたポジションに調整が入り、相場が急変動するケースがあります。マーケットの織り込み度合いはトレーダーが押さえておくべき大事な要素なので、しっかりとチェックしておくとよいでしょう。
FOMC後の会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、経済の不確実性についても言及しており、やはり新型コロナウィルスの感染拡大やオミクロン株等の変異株によるリスクを警戒していました。もし経済状況が大きく変われば、前述のシナリオ通りにはならない可能性を示唆しています。
株式市場に目を向けると、FOMCを受けて米国株は最高値更新を狙いに行くかのような値動きを見せましたが、12月のFOMCが年内最後の大きなイベントであり、また例年クリスマスにかけて流動性が低下していきます。この時期、機関投資家はポジションを積み増すことをあまりしないため、目先の株価の変動は個人投資家や小さなファンドのフローという可能性も考えられます。
FOMCなど相場にインパクトを与えるイベントのあと、アメリカの債権利回りは上下に振れることが散見されますが、今回は目立った動きがありませんでした。もともとタカ派の会合内容が予想されていたこともあり、反応が限定的になったと思われます。
為替相場でもドル円が一時的に上昇しました。これがドル買いによるものだとすれば、ユーロドルが下落するはずですが、ユーロドルも反発していたので、ドル円の動きはFOMC直後の株高により日本円が売られたことがきっかけとなったと分析できます。為替は2国間の通貨の強弱で動くので、どちらの通貨が原因で変動したかを確認しておくと、マーケット動向が理解しやすくなります。
年間を通して、トレードすべき時期とそうでない時期がありますが、どのタイミングで取引を行えばいいのかの判断は、チャートが頼りになると考えています。私はしっかりとテクニカル分析することで利益を出せるようになったため、参考にしてみてはいかがでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)