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伝串の『新時代』、『餃子の王将』…外食苦境の中で活路見出す好調チェーンの戦略

マスクの装着が常態化したことで需要が増加した食べ物は?(写真はイメージ)

マスクの装着が常態化したことで需要が増加した食べ物は?(写真はイメージ)

大手が撤退したテナントに出店

 個人店だけでなく、大手外食チェーンも“ウィズコロナ”の時代にフィットした経営を模索している。外食チェーンのサイゼリヤは10月、コスト削減のため深夜営業の中止の継続を発表した。

「大手外食チェーンは、店舗の数が多く店の規模も大きいため、協力金が支給されても焼け石に水。人件費や家賃などの固定費を抑えるため、多くの企業が休業・撤退を余儀なくされました。とりわけ居酒屋業界への打撃は激しく、主に大手居酒屋チェーンは1200店舗以上を閉店したと言われています」

 ただそんな中でも、商機を見出している外食チェーンもあるという。

「大手は店舗数を減らさないと立ち行かない一方で、比較的中規模の外食チェーンは、大手が撤退したテナントの跡地に店を構え、大幅に業績を伸ばしています。その代表とも言えるのが、名古屋・東京を中心に居酒屋『新時代』などを展開するファッズです。1本50円という破格の鶏皮串(『伝串』)が名物で、ピラミッドのように伝串を積み上げて販売したところ、SNSなどで話題になり若い世代を中心に人気を集めました。既に80店舗展開しており、コロナ禍でも順調に拡大を続けています。

 外食産業記者会が主催する『外食アワード2021』を受賞した『0秒レモンサワー 仙台ホルモン酒場 ときわ亭』を運営するGOSSOも好調です。全席にレモンサワーサーバーを設置し、その場で自分で注ぐ形式の飲み放題が若者の支持を集めています。2019年12月の横浜1号店の出店から順調に拡大し続け、この12月に50店舗を達成しました」

 コロナ禍のマスク生活が強みとなった外食チェーンもある。

「パスタやフレンチなど、様々ある外食の種類の中でも軒並み好調なのが餃子店です。にんにくを使う餃子は、これまでビジネスパーソンから敬遠されることもありましたが、マスクの装着が当たり前になったことで、臭いを気にせず食べられるようになりました。また、にんにくが免疫力アップの食材として注目されたことも人気の背景にあると思います。『餃子の王将』などを展開する王将フードサービスは、持ち帰りやテイクアウト、デリバリーを強化したこともあり、コロナ禍でも10月、11月の単月売上高は同月比過去最高を更新しました」

 このほか、多くの人が自粛生活を強いられたことで、家では作れない寿司やファストフードなども好調だという。中村さんは、「コロナ禍の約2年で、飲食業界の新陳代謝、選手交代が進んでいる」と話す。コロナ禍という未曾有の危機から脱しつつある今、少し先の飲食業界はまた違った景色が広がっているのかもしれない。

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