新型コロナウイルスの出現から2年。低迷が続いた日本経済は復活するのか。第一線の論客である森永卓郎(経済アナリスト)、永濱利廣(第一生命経済研究所首席エコノミスト)、馬渕磨理子、(経済アナリスト)の3氏による座談会を開催。2022年の未来予想図を語り合った。【全3回の第2回。第1回はこちら】
永濱:景気回復のためには、岸田政権の経済対策が大事になりますよね。私は“マーケットアンフレンドリー”なのが気がかりです。菅(義偉)前首相が総裁選への出馬を取りやめて株価が上がったのに、岸田(文雄)総裁が決まった途端、株価が急落したのが象徴的。
この先、参院選(7月を想定)で勝つと、「金融所得課税」の強化に走る可能性があります。格差是正のためとはいえ、投資家の利益に課税強化するのは時期尚早でしょう。経済が正常化するまで増税は我慢すべきで、今踏み切るとなれば、ケガしてようやくかさぶたができたのに、固まる前にはがすようなものですよ。
馬渕:「科学技術立国」や「デジタル田園都市国家構想」など、一つ一つの政策はいいんですが、リアルさがない。実現までに相当時間がかかるので、何十年先の話をしているのだろう、と思ってしまう。その割に金融所得課税をはじめ金融市場には厳しい姿勢が目立つので、日本株の魅力が高まらないんです。もっとIR(投資家向け広報)の発信を強化しないと、世界から後れをとってしまう。
森永:経済政策は財政政策と金融政策しかないのに、アベノミクスでも金融は緩和した一方で、財政では財政赤字の拡大を恐れて緊縮的な面が目立った。アクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、うまくいくわけがない。
馬渕:日本の財政をPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)で見る発想がなくて、国債という負債が膨らんでいることばかりに焦点が当たりますが、負債の一方で資産もある。
永濱:個人金融資産も今や2000兆円まで膨らんでいる。
馬渕:それなのに、財務省では「日本の債務残高はGDPの2倍を超え、主要先進国の中では最も高い」と喧伝して恐怖に陥れるばかり。