100周年酒蔵の記念酒
酒蔵を通した街おこしを行なっているのが、新潟県南魚沼市に本社を置く、日本酒「八海山」で知られる八海醸造だ。創業者の南雲浩一氏は地域の地主として、地域おこしのため病院や製糸工場などの様々な事業を地元に誘致した。酒蔵もそのひとつだった。
「我々もその志を受け継いでいます」と語るのは、同社の南雲二郎社長だ。
「酒づくりで地域に貢献するのはもちろんのこと、酒蔵の周りを『魚沼の里』として造成して、地域の皆さまに誇りに感じてもらえるような取り組みを展開しています。併せて地域外に向けて、魚沼の風土や自然の恵みを発信しています」
今でこそ誰もが知る八海山だが、他の大手酒造と比較すると歴史100年といえども後発で、創業してから暫くは資産よりも借金のほうが多かった時期もあった。しかし、1960年代以降に人材・設備面での投資をしたことで日本酒業界でも類を見ない生産量を実現し、品質を保ちつつ誰もが買える日本酒として全国的に知名度を上げていった。今後は日本酒を海外にも広める方針だ。
「アメリカの酒造会社と業務資本提携を結びました。積極的に海外に進出して、日本の文化である日本酒を世界飲料にしていくことが新たな世紀への展望です」(南雲社長)
100周年の記念酒も企画中とのことで、百寿の祝杯が待たれる。
ちなみに弊社・小学館も今年、創業100周年を迎えた。“同い年”企業とともに、100年後も顧客に愛される企業を目指していく──。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号