労働時間の短縮が進まない中、厚労省は昨年6月に業種別の労災請求件数を公表した。2020年度の脳・心臓疾患の労災請求件数が最も多かったのは、トラック運送や宅配便などの「道路貨物運送業」(118件)。コロナの影響で宅配サービスなどの需要が高まり、働き手に長時間労働を強いたと考えられる。
2位は、ほかに分類されない「サービス業」(61件)、3位は建築工事や土木工事など「総合工事業」(44件)。以下、介護や障害福祉など「社会保険・社会福祉・介護事業」(40件)、建設工事など「職別工事業(設備工事業を除く)」(38件)が続く。NPO労働相談センター副理事長の須田光照さんは4位の「介護事業」に注目する。
「相談センターでは、介護施設や高齢者施設の労災や職業病の相談が増えています。数年前から、超高齢化で介護担当の仕事は増加、労働時間が長く仕事の負担が大きい一方で、現場の賃金は平均より安いことから職員のなり手が不足していました。1人あたりの職員にかかる負担が重くなっているところへ、コロナ禍がさらなる追い打ちとなりました」
※女性セブン2022年1月20・27日号