合理性を高めるための無人式の仕組みが、結果的にコロナ禍での経営にマッチしたという。
「生産性向上の取り組みの中で、非接触や自動会計のシステムなどは早くから導入してきたので、時折コロナ禍を予見して準備していたのではないかと言われますが(笑)、まったくそんなことはありません。女性の社会進出や高齢社会の加速を鑑みれば、デリバリー需要の増加も必然です。
たまたまコロナ禍となってデリバリー注文が一気に押し寄せた際、ウチは対応できましたが、他社ではお店の現場スタッフがまだ捌き切れなかった。そこの先行メリットはあったかもしれません」
水留氏は日頃から危機対応力について持論があった。
「よく社員にも話すんです。『危機対応力が重要なのではない。普段から生産性が高い会社は非常時も生産性が高いものだ』と。コロナ禍などの危機下で慌てて対策を講じなくとも、きちんと持ちこたえられる事業構造を常に持っているかどうか。それが組織としての雌雄を決する」
(第2回につづく)
取材・文/河野圭祐
ジャーナリスト。1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2022年1月28日号