昨年3月に発表された「ペットにかける年間支出調査2020」(アニコム損保調べ)によると、犬にかける年間費用は平均33万8561円。だが、中には年間100万円を軽くオーバーするほど、ペットにお金をかける人もいる。富裕層が多く住む東京・港区の麻布界隈の“麻布妻”の間では、ときに「犬にかけたお金」が話題になることがあるという。自身も麻布妻でライターの高木希美氏が、富裕層妻たちの間で実際にあった愛犬トークの一部始終をリポートする。
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最近、麻布周辺に引っ越してきた30代の聡美さん(仮名、以下同)は、近くのペットショップで40万円以上もするポメラニアンを思い切って購入しました。かわいいペットが来たことで、4歳の息子も大喜びだそうです。夫は大手広告代理店勤務。世間的には高収入ですが、「サラリーマンだから、億ションにはとても住めません。引っ越してみたら周囲が本物のお金持ちだらけで驚いています」(聡美さん)とのことです。
そんな聡美さんが「本物のお金持ち」に触れたのが、ドッグランで出会った2人でした。豊洲にあるドッグランに犬を連れて行った時に、偶然話した道子さんと雪さんです。
道子さんは麻布に住んで30年。実家暮らしの幼少期からずっと犬を飼っていて、子供はいないものの、今はゴールデン・レトリバーとハスキーが子供みたいなものとのこと。
やはり麻布界隈の高級マンションに住むアラサーの雪さんは、トムとジェリーという名前の2頭のスタンダードプードルを飼っています。夫婦共働きで、犬と遊ぶのが息抜きだとか。
ドッグランで話していて、みんな近くに住んでいることがわかり、「近所だしLINEを交換しましょう」となったそうです。一番年長の道子さんは、「ぜひ我が家に遊びに来てください」と後日自宅に招いてくれました。
聡美さんが、道子さんの住むコンシェルジュ付き高層マンションに行くと、昼からシャンパンが用意されており、ピエール・エルメ・パリのマカロンで乾杯。さらに、超有名中華料理店の北京ダックをデリバリーしてもてなしてくれたそうです。
120平米はある広いマンションには、歴代のわんちゃんたちがアカデミックキャップのような帽子を被せられた写真が、額縁に入れられて飾られていました。
「初代はプードルのメアリー、次にチワワのさとるとたけし、次にマルチーズのジュリア、ミニチュアシュナウザーのダニエル。ボルゾイの小雪。今はハスキーのボニエールとゴールデンのロマネなのよ」と道子さん。
写真の下には、今まで飼っていたわんちゃんたちと同じ犬種の陶器の置物がずらりと飾られています。
「うちの子はみんなお教室に通っていた優秀な子供たちよ」
それに対し雪さんは「道子さん、ご紹介していただけますか?」と乗り出し、こう続けました。