4月から東京証券取引所(東証)は現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。
新たな3市場の上場基準とコンセプトは、「プライム市場」は流通株式時価総額100億円以上の企業で社外取締役を3分の1以上選任するなどガバナンスの面でも厳しい条件があり、主に海外の機関投資家向け。「スタンダード市場」は流通株式時価総額10億円以上で国内投資家向け。「グロース市場」は流通株式時価総額5億円以上で投資にはリスクがあるが、高い成長が期待されるベンチャーや新興企業となっている。
プライム市場にはコロナ下でも業績絶好調のトヨタ自動車、ソニーグループをはじめ、キーエンス、NTTや東京エレクトロン、リクルートHD、ソフトバンクグループ、伊藤忠商事、三菱商事など大手商社、三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンク、日本電産、武田薬品工業といった日本を代表する企業が名を連ねる。
プライム市場に入ること、留まることを目指す企業の努力が日本経済を活性化させる可能性があるが、「スタンダード」になった企業のほうはどうか。ひとつひとつ見ていくと、そこにもまた成長と安定へのポテンシャルが見出せた――。
電源メーカー3強の一角を占める電気機器メーカー・オリジン。1969年から東証1部だが、プライム市場の基準に届かず、自ら「スタンダード」を選択した。同社広報部が説明する。
「現時点でプライム市場の上場維持基準に達しておらず、現状では厳しいと判断しました。まずはコロナ前の業績まで回復させ、企業としての足腰を盤石にすることを優先し、スタンダード市場を選択しました。将来に向けて戦う姿勢が整った段階で、プライム入りを考えます」