2019年6月にマザーズから東証1部に市場変更した外食チェーン大手の串カツ田中ホールディングスも、プライム入りは果たせなかった。
「いまの状況下で身の丈に合ったスタンダード市場を選びました。弊社株主の海外投資家の比率は数%で、海外出店もコロナ禍の影響で一時撤退しています。ただ今後は海外への展開も考えており、プライムの上場基準『直近2年間の利益合計が25億円以上』が達成できたら、戦略として上を目指します」(広報部)
雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。
「コロナ禍が収束して中長期の成長戦略が確かなものになれば、プライムを諦めた企業にも再挑戦の機会があるはずです」
その一方、プライムの基準を満たしながら、あえて「スタンダード」を選んだ企業もある。
「投資家に迷惑をかける」
全国で100円ショップを展開するキャンドゥは将来の“昇格”を見据えつつ、今回はスタンダードを選んだ。
「昨年の移行基準日にはプライムの基準に達していましたが、その後イオンの傘下になり51%超の株式を保有されたことで、『流動性』を安定的に維持できる状態ではなくなりました。そこで現時点ではスタンダードを選択して足場をしっかり固めます。今後は親会社イオンの海外展開の流れに沿う形で店舗を増やし、商品展開を広げ、プライムに上がることを目標にしています」(広報部)