――2人の偉大な成功者が、株式市場全体に投資する投資信託「インデックスファンド」を勧めている。
橘:これ以上、説得力のあるアドバイスはないですよね。日本ではなぜかインデックスファンドを使った運用がバカにされますが、個人投資家が数万円で世界の株式市場全体に投資できるというのは、ものすごい金融イノベーションです。バフェットやソープのような天才たちは、そのことに気づいています。
私はずっと、個人投資家にとって、世界市場(あるいはS&P500やナスダック指数)へのインデックスファンドの長期の積み立てを上回る投資戦略はないと述べてきました。このことはファイナンス理論でも数学的に証明されているし、「投資の神様」や「最強のハッカー」もそういっている。もちろん、バフェットやソープと同じくらいの才能があればこのかぎりではありませんが。
インデックスファンドの積み立ては、誰でも低額から簡単にできて、銘柄選びのための調査や勉強の時間コストもかからず、さらにはNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を使えば税制の優遇まで受けられる。これらのメリットを考えると、ごくふつうのひとにとって、理論上、これを超える投資戦略はあり得ません。「もっといい投資法はないのか」といわれることもありますが、それを知っていれば、私自身がいまごろバフェットやソープより成功しているでしょう。
【プロフィール】
橘玲(たちばな・あきら)/1959年生まれ。作家。国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など金融・人生設計に関する著作も多数。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017新書大賞受賞。その他の著書に『上級国民/下級国民』『無理ゲー社会』など多数。最新刊は『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』。