「幸いなことに、隣の住人も上の階の住人も静かだったので、入居当初はそれだけで満足していました。でも、だんだんと窓の多さにデメリットを感じるようになりました。というのも、まず寝室の出窓に合うサイズのカーテンは既製品で売っていないため、特注品で出費がかさむ。しかも、窓がたくさんある分、壁が少ないせいで家具配置が難しく、入居から1年ちょっと経った今でも難航しています。窓を“犠牲”にすることも考えましたが、せっかくの角部屋のメリットがなくなるので、それももったいない」(Aさん)
Aさんにとって他にも想定外のことはあった。「隣接するマンション」の問題だ。
「角部屋だと同じマンション内では隣接する部屋が少なくていいのですが、隣のマンションのことまで気にしなければならないのが想定外でした。意外と生活音が聞こえてくるんですよね。角部屋じゃなければ、そこまで気にしなくて済んだのでしょうが……。
あと、ちょうど私の部屋の窓の真ん前が隣のマンションの部屋のキッチンみたいで、にんにくを使った料理の匂いが部屋中に充満したことがありました。同じマンション内なら相談もできるかもしれませんが、違うマンションなのでそれもやりにくい」(Aさん)
外廊下で玄関前に2方向から雨が吹き付け水浸し
IT企業に勤める20代女性・Bさんは、コロナ以前にかねてから憧れていた角部屋に引っ越した。だが、引っ越してすぐに想定外のことが起こり、「気持ちが萎えた」という。
「やはり光が多く入るのは魅力的でしたが、雨の日は大変でした。マンションの構造上の問題もあるんですが、うちの場合は外廊下で2方向から雨が吹き付けてくるので、玄関ドア前が水浸し状態になることも。他の部屋の玄関前はそんなに濡れてないのに……。ベランダもやはり2方向から雨が襲うので、ビチャビチャ度が高くなる気がします。雨の日は憂鬱になりました」(Bさん)
さらに在宅勤務になったことで、少し不満に思っていた角部屋のデメリットが際立ってしまったという。
「『角部屋は外に接する面が多い分、他の部屋に比べて冬は寒いし夏は暑い』と言いますが、たしかにそれはあるように思います。実際、以前暮らしていたマンションの中部屋に比べて、エアコンの設定温度を夏は低く、冬は高くしないと過ごしにくい。光熱費も上がりました。そうした中で在宅勤務になり、一日中家にいるようになったので光熱費が馬鹿になりません。それなのに、角部屋は同じフロアの中部屋より家賃が高い。角部屋は意外とコスパが悪いなあ、と住んでみて思いました」(Bさん)
角部屋はメリットも多く、実際に住んで満足している人も多いだろう。それでも、角部屋のメリットばかりに目が行き過ぎて、「こんなはずじゃ……」と少し後悔している人もいる。もちろん「角部屋だから」というだけでなく、個別の住まいに由来するデメリットもあるだろうが、実際に住んでみないとわからないことは少なくないようだ。