元々配偶者に連れ子がいて、その後、離婚した場合、相続はどうなるのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
私は2度の離婚を経験。初婚で2人の子供を授かり、2回目の結婚では妻に連れ子がいて、結局はその子との折り合いが悪く離婚に。そんな私が病気を患い、気がかりは遺産のことで、すべてを実子2人に譲りたいのです。再婚相手の連れ子に渡らないようにするには、どのような手続きが必要となりますか。
【回答】
子連れの異性と結婚しても、連れ子は当然、結婚相手の子供にはなりません。連れ子は親が結婚相手から相続した後、その親から相続することはありますが、あなたは離婚しているので、連れ子が将来的に相続する心配は無用です。
しかし、再婚時に連れ子と養子縁組をしていた場合、養子として2人の実子と同様の相続権を持ち、あなたが独身のまま死ねば、遺産の3分の1は連れ子が相続します。
その事態を回避するには、養子縁組を解消する必要があります。
解消方法は、養親と養子が任意に合意し、役所に養子離縁届を提出して行なう協議離縁、家庭裁判所の調停による調停離縁、その調停がまとまらなければ、さらに家庭裁判所の判決による裁判離縁があり、離縁の協議ができなければ、調停申立が必要となります。離縁裁判の提起は、離縁調停が成立しないことが前提だからです。
病気の回復が難しいときは、できるだけ手続きを急いでください。離縁裁判は、裁判継続中に原告が死亡した場合には終了するので、離縁が不可能となります。