また、裁判離縁が認められる事由は【1】悪意で遺棄。【2】3年以上の生死不明。【3】縁組を継続し難い重大な事由があるとき。このうち、【3】は「養親子としての実体が全く失われ、将来においてもその回復が不能の状態」にあること。連れ子の養子や婿養子の場合、養子縁組の一方当事者の夫婦関係が破綻したり、離婚した場合には、養子縁組の維持の必要性にも影響し、離縁が認められやすくなります。
ただし、争われると、判決までに時間がかかることも。
そこで、万一の場合に備え、実子に全遺産を相続させる遺言を書いておくことを、お勧めします。これにより、養子の権利は法定相続分の半分の遺留分だけになりますから、遺産散逸を減縮できます。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年2月11日号