3D映画もほとんど公開されなくなった
QUEST 2の人気が高まり、PlayStation VR 2という期待の新デバイスの登場も控えているとはいえ、まだまだVRデバイスが広く普及しているとは言い難い状況であるのも事実だ。ユーザーの声に耳を傾けてみると、VRの現状が浮き彫りになってくる。
PlayStation VRのユーザーだという都内在住の会社員Aさん(30代男性)は、こう話す。
「私がPlayStation VRを購入したのは2018年。当時はいろいろなゲームを楽しんでいました。VRゲームそのものが新鮮でしたし、『バイオハザード7』や『鉄拳7』などといった人気ゲームシリーズのVRバージョンもありました。でも最近はVRの注目作のリリースが全然ないんですよね。もちろん新作もいくつかありますが、1人称視点のアクションゲームかアドベンチャーゲームがほとんどで、どうしてもワンパターンに感じてしまう。もっといろいろなタイプのゲームをVRで楽しみたいです」(Aさん)
PlayStation VRやOCULUS QUEST 2では、映像コンテンツを楽しむユーザーも多いという。前出・藤井氏が説明する。
「かつては映画館で3D映画も多く公開されていましたが、現在はほとんど公開されていません。PlayStation VRでも『シアタールームVR』という仮想3D映画館を楽しむアプリがありましたが、それも2020年でサービス終了となっています。そもそも『シアタールームVR』に対応する3D映画の作品は数本しかなく、ユーザーを満足させるものではなかったように思います。一応、PlayStation VRでは3D映画のブルーレイディスクの3D再生は可能ですが、3D映画の新作がほとんどないので、こちらの需要も少ない。
一方で、成人向けのVR映像コンテンツは人気で、主にDMMのVR動画プレイヤーで楽しむユーザーが多い。現状では、そういった映像こそがVRデバイスのメインの用途になっていると言っても過言ではないと思います。
また、NetflixやU-NEXT、YouTubeなどの動画配信サービスもPlayStation VRやOCULUS QUEST 2に対応しており、これらのサービスをVRで楽しむユーザーも少なくないですね。ただ、映像を3Dで楽しめるわけではないので、VRの魅力を存分に発揮できていないのも確か。今後は映像コンテンツについても、“いかにVRならではの魅力が付加されるか”が重要になってくると思います」
その性能や使いやすさもどんどん進化しているVRデバイスだが、コンテンツ不足は否めない。デバイスの性能を最大限に引き出すだけソフトの充実こそが待たれる。