他方、野生動物の農作物被害のある地域の実情に合わせ、市町村レベルで対応できる『鳥獣被害防止特措法』があります。サル被害の市町村が「鳥獣被害防止計画」を定めて対象鳥獣にすれば、サルの捕獲等は『鳥獣保護管理法』の許可によるものと看做されます。
ただし、捕獲等は市等が設置する鳥獣被害対策実施隊が実行します。防止計画がない市街地でも、サルが出没して人に危害を加える恐れがあれば、警察が『警察官職務執行法』に基づき、危険防止のために通常必要と認められる措置として、捕獲可能です。
なお、単なる追い払いは捕獲ではなく、法律違反にはなりません。
モデルガンでサルを殺傷しなければ同様です。殺傷にならなくても、暴行などの虐待を禁じる『動物愛護法』はありますが、同法が罰則で禁止しているのは犬・猫などの愛護動物であり、サルは含まれていません。それでも、エアガンでサルを傷つけると、『鳥獣保護管理法』違反になります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年2月18・25日号