現在、中国の一部地区では「デジタル人民元」のテストが行われている。現時点では法定通貨ではない。スマホユーザーがデジタル人民元アプリをダウンロードし、それに携帯番号、ID、自分で決めたパスワードを入力すれば、その地区にある対象店舗において、デジタル人民元を使うことができる。
中国本土マスコミ報道(1月6日付、東方財富網など)によれば、出前大手の美団(03690)でも「デジタル人民元」が利用できるようになったという。
美団のほかにも、ネット通販の大手であるJDドットコム(09618)やスマホアプリで配車サービスを手掛ける滴滴出行(DIDI)といった利用頻度の高い業者も実験に参加している。
アプリの利用にあたり、銀行口座を紐づけしなければならないが、その口座を提供する銀行として、4大国有商業銀行、交通銀行、中国郵政儲蓄銀行、招商銀行、網商銀行、微衆銀行の9行が指定されている。これらの銀行が中国人民銀行との間を仲介することで、デジタル人民元の利用が可能になるといった仕組みである。
テスト地区となっているのは“10+1”の地区。“10”の地区とは、深セン、蘇州、雄安新区、成都、上海、海南、長沙、西安、青島、大連。そして“1”は北京冬季オリンピック会場だ。
オリンピック期間中、選手はもちろん、コーチなどの随行員、メディアから観衆に至るまで、すべての関係者がデジタル人民元を利用することが可能。交通、宿泊、買い物、旅行観光、医療衛生、通信サービス、チケット娯楽など、オリンピックに関するすべてのシーンでデジタル人民元を利用することができる。
今回のオリンピック会場での利用実験では、中国銀行だけが運用機関に指定されている。同行が電子ウォレットを用意し、電子ウォレットとの間のマネーの出し入れから業者への支払いまで、すべての決済業務を担当する。技術面では、京東数科数字、神州信息などが責任を持つ。