フィギュアスケート団体で初となるメダルを獲得した日本。2月8日には男子シングルのショートプログラムで羽生結弦が登場し、今後はスピードスケートでも高木菜那・美帆姉妹をはじめとするメダル候補が次々と登場する。そうした選手たちの足元を支える様々な技術が存在する。
スケートシューズが用いられる五輪競技は大きく分けてフィギュアスケート、スピードスケート、アイスホッケーがある。一般の人がスケートリンクに行った時に借りるのはフィギュアスケート用シューズで、くるぶしより上まであるショートブーツのような形状をしている。これに対してスピードスケートはランニングシューズ、アイスホッケーはバスケットシューズのような形状の靴の部分に、ブレード(刃の部分)がついている。スポーツメーカー関係者が解説する。
「競技の内容によってシューズ部分の形状が足首を固定するものだったり、流線形であったりするが、競技によって大きく異なるのがブレードの部分です。フィギュアスケートはつま先部分に丸みを帯びさせたうえでギザギザ(トゥピック)がついており、これがなければジャンプやスピンができない。あと、氷に接するエッジ部分は逆U字型の溝があり、ジャンプの時にこのエッジの内側と外側のどちらから踏み切るか、着氷するかで“フリップ”“サルコウ”など技が変わってきます。
スピードスケートのブレードは先が尖っていて、シューズ部分の1.5倍の長さがある。ブレードは一直線ではなく、わずかに湾曲している。このアーチを『ロック』といい、R22からR25で、選手によって違う(半径22メートルの大きな円周の湾曲=R22)。
アイスホッケーのブレードも湾曲しているが、スピードを重視するか安定感を優先するかなど選手の目的によって変わってくる。耐久性を保ちながらシューズ全体が軽量化され、スネやアキレス腱を保護するためのカバーがついています」
スピードスケートシューズは調整に1年
現在、日本国内でブーツやブレードなどスケートシューズを一から製作できる数少ないメーカーが長野県に本社を置く「エスク」だ。SSS(サンエス)のブランドで知られ、国内だけでなく海外の選手からのアスリートからの製作依頼も多い。「エスク」でブーツ担当の吉田健二氏はこう話す。
「フィギュアとホッケーは社内生産をしていません。フィギュアはトップ選手でも足形を取らないことが多い。海外の既製品を自分の足に慣らしていく選手がほとんどです。足形を取って作った選手もいますが、あまりフィーリングがよくないようなんです」