デジタル通貨はブロックチェーン技術を利用することから、取引の安全性は格段に高く、電子マネーである以上、送金、決済のコストは圧倒的に安い。
中国は2015年10月、自前の国際銀行間決済システム(CIPS)を構築、「一帯一路」周辺国を中心に広く普及を進めているが、デジタル人民元の利用が海外にも広がれば、CIPSの普及は一段と加速するだろう。
オリンピック会場でのデジタル人民元実験は、外国人の利用を通じて、貴重なデータを収集するとともに、デジタル人民元を実際に利用してもらうことで、その利便性を実感してもらい、それを世界に拡散させ、デジタル人民元の国際化を進めるための宣伝広告にするといった効果もあるはずだ。
中国は様々な形で存分にオリンピックを有効利用しているようだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。