オートロック、宅配ボックス、TVモニター付きインターフォン、独立洗面台……。賃貸物件で「これがあるとうれしい!」という設備は様々だが、最近特に人気なのが「インターネット無料」の物件だ。2021年10月に発表された全国賃貸住宅新聞の調査(全国の不動産会社321社が回答)によると、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」ランキングで、単身者、ファミリー向けともに6年連続で「インターネット無料」が1位となるなど、自宅のネット環境や通信費節約を意識する人が増えていることがうかがえる。
新型コロナウイルス感染拡大が始まってから2年を超え、テレワークやオンライン授業など在宅で過ごす時間が増加していることで、「ネット無料」という響きはこれまで以上に魅力的に映るようになっただろう。だが、実際に住んでみると「回線速度の遅さ」にがっかりする人も少なくないようだ。ネット無料の物件に、実際に住んだことのある人たちに話を聞いた。
オンライン会議に支障が出て引っ越し
「『インターネット無料』の物件は、自分が思っていた速度が出ない場合、がっかり感がすごい。結構ショックでした」
そう嘆くのはメーカーに勤務する20代男性・Aさんだ。最初の緊急事態宣言が出る少し前、「ネット無料」の響きに惹かれ、賃貸物件を契約した。
「不動産屋さんから『予算内だとこちらがおすすめ』と提案されたのが、この物件でした。築年数は古めではありましたが、リフォーム済みで室内設備が充実していて、『光回線導入済みでネット無料』でした。『人気物件ですよ』という言葉に背中を押され、即決しました」(Aさん)
入居当初は「良い物件に入居できた」と満足していたが、入居から半年後くらいから徐々にネット環境に苛立ちを感じ始めた。
「回線速度は、引っ越した当初は良かったんです。動画視聴やオンライン会議も快適でした。でも、時々YouTubeの視聴が最高画質の設定では見られなくなるようになり、低画質で視聴せざるを得ない状態に……。時間帯にもよるんですが、特に夜9時くらいがつながりにくかったです。コロナ禍で家にいる人が多いためか、昼間でも遅い時がありました。オンライン会議のネットワークが不安定で、同僚に後で電話をかけて内容を確認したことも」(Aさん)。