そうした状況を改善してもらおうと、不動産会社を通じて相談してみることにした。だが、特に改善する予定はないとのことで、ならば自分で回線契約することを申し出たが、結果は「NG」。仕方なくAさんは、引っ越しを決めた。
「スマホでテザリングした方がよほど早い状態だったので、モバイルWi-Fiを契約しようとも思ったんですが、せっかく『ネット無料』物件なのに、それだとなんだか負けというか、損をしている気分になったので、入居から1年くらいで引っ越すことを決意。今は『ネット無料』ではない物件に住んで、自前で回線を引いています。快適です」(Aさん)
同僚は「何の問題もない」と言っていたが…
回線速度が遅い可能性があるのを承知のうえで、物件を契約した人もいる。IT企業に勤務する30代男性・Bさんは、出社日はあるものの在宅勤務メインでの仕事が続いていることから、引っ越しを検討。目に付いたのは「ネット無料」物件だった。
「『ネット無料』と聞くと、どうしても回線が遅いイメージがあって、契約に躊躇してしまいがちでした。でも、『ネット無料』の物件に住んでいる同僚からは、オンライン会議はもちろん、サブスクの動画を4Kで見られるし、オンラインゲームのプレイも問題ないと聞き、『最近は状況も改善されたのかな』と納得してしまいました」(Bさん)
同僚の話を聞いて「ネット無料」の物件を決めたBさん。だが、この決断が裏目に出ることになった。
「今の物件に引っ越してから、オンラインゲームのプレイ時、回線が不安定なのか何回もエラーが出るようになりました。思うようにプレイできなくてストレスなので、個人的に“外れ物件”を引いた気持ちです。もちろん、ゲームをしない人には十分な速度ではあると思います」(Bさん)
回線速度は、その集合住宅がどの回線業者とどのような契約を結んでいるかにもよる。Bさんは、「『ネット無料』の物件には当たり外れがあるんだろうな、という印象です」と言う。
家賃や管理費が高くなる?
『ネット無料』といっても、自分で回線を契約する必要がなく、基本料金を払わなくていいというだけで、形のうえではオーナーがその分を負担している。人材紹介会社に勤務する20代女性・Cさんは、物件の管理費の高さを指摘する。