Bさんは、接客業として「話さない」という選択が正しいのか不安な面もあるというが、施術に集中できる点はメリットでもあるという。
「正直、私はお客様とのコミュニケーションが得意とはいえず、努力して会話力を勉強するタイプ。何か話さなきゃ、とプレッシャーになっている美容師もいるんです(笑)。なので、話をせず、より施術に集中できるという点は、個人的にはうれしくもあります」(Bさん)
客が好む話題が変化「昔より情報収集が大変」
いくら話しかけられたくない客が増えているとはいえ、やっぱり話したい客もいる。そうなると、最近の流行や話題も把握しておかなければならない。30代で美容室を営む男性美容師・Cさんは、最近の話題の傾向についてこう語る。
「以前は新聞や週刊誌を読んだり、テレビをチェックしておけば大丈夫でした。内容まで深く知らなくても、“それが話題になっている”ということを知っていれば、なんとなかったものです。でも、今はニュースや地上波のドラマ、バラエティ番組よりも、サブスクで話題の韓国ドラマやアニメのほうが重要というか、世代に関係なく知っている人が多いですね。うちの美容室では、『鬼滅の刃』と『呪術廻戦』については全巻揃えて、読んでもらえる環境にしてあります(笑)。美容師もアニメや漫画、サブスクのドラマの内容を把握しておいたほうがいいでしょうし、そう考えると昔より大変ですね」(Cさん)
もちろんトーク内容だけでなく、美容室のサービスも時代とともに変化しつつある。Cさんが続ける。
「たとえば、雑誌は数年前から廃止して、タブレットで読み放題のアプリを入れています。そうすることで整理や廃棄処分も圧倒的に楽になりましたし、お客さまにとっても、『この雑誌違うんだけどな……』とか、『読み終わったから換えてほしいな』といったストレスがないようで好評です。最近は美容師との会話や雑誌よりも、自分のスマホを見ながら髪を切ってもらいたいという方も多いので、Wi-Fiをどなたでも使えるようにしていますし、各席に電源も完備しています」(Cさん)
時代に合わせて美容室も変化し続けているようだ。