「断捨離」という言葉が流行語大賞にノミネートされてから、はや12年。その後、「ミニマリスト」という言葉も広まり、ものを捨てることが豊かな生活につながると考える風潮が出来上がった。
しかし、「ものを持たない生活」には落とし穴がある。整理収納アドバイザーの西澤佳代子さんが指摘する。
「SNSやブログを見ると、コンパクトな持ちもので生活している人たちが、そのライフスタイルを素敵に紹介しています。しかし、安易に“私もやりたい!”と憧れるのは考えものです。必要な持ちものというのは、生活スタイルや家族構成、住んでいる場所によって大きく違ってきます。
SNSで『こんなものを処分して住まいがスッキリしました』と紹介されていても、ほかの人にとっては必要なものかもしれない。捨てたけど、やっぱり必要だったと後悔する可能性があります」
なぜ、これほど「ものを持たない暮らし」が注目されるかというと、出費が減って節約になるというイメージが大きいため。だが、元介護福祉士で整理収納アドバイザーの中里愛子さんは「ミニマリストが必ずしも節約家とは限らない」と語る。
「ミニマリストは持ちものを必要最小限にすることで、ものを管理する手間や時間、スペースを省略し効率的な生活をしています。それゆえ、『いま使っていないもの』を手放すことも多く、『必要になったらまた買う』『不要になったら手放す』ということを繰り返すミニマリストも多い。
特に子育て世代ではライフスタイルの変化が多く、一時的に必要になったり、不要になるものがたくさんあります。いまは使っていなくても、将来的に使うことが明確なものは手放さない方が節約につながります」
「ものを持たない生活」だからといって、節約につながるわけではないようだ。
※女性セブン2022年3月3日号