橋本さん:なるほどね。でも1000円払って300円分のポイントがついてくるというのは、1300円払って300円得するという計算なので、実際は23%ぐらいの得なんですよ。なのに、30%分もらった気分になる。
オバ記者:ポイントだと最初は全額払わないといけないしね。でもね、電子マネーで支払うと「還元額」が画面に表示されたりもするのよ。それを見るとアガっちゃう。ノセられているのかしら。
橋本さん:それは本来の貨幣価値でなく、示された金額で判断してしまう「貨幣錯覚」です。実際の損得と見かけ上の損得は違う場合があり、このケースは30%という見かけ上の数字に惑わされているのです。
オバ記者:まぁそれでも23%得するならやっぱり大きいよね。ポイントってなんであんなにうれしいんでしょうね。
橋本さん:それは「保有効果」(経済学において、いったん自分が所有したものに価値を感じ手放したくなくなるという心理)です。
オバ記者:なるほどねぇ。
橋本さん:ポイントは現金ではありませんが、ことあるごとに、どれだけ貯まっているかを確認できる。そこで、自分が保有していることを実感できるのです。
オバ記者:たしかに、見るたびニヤけちゃう。
橋本さん:こんなに貯まってる、と勇気づけられますよね。でも30%引きはその場限り。
オバ記者:たしかにそうね。そのときは安く買えたけど、ポイントみたいに悲しいときに心を満たしてはくれないもんね。
橋本さん:割引はそのときだけの関係、刹那的なんです。
オバ記者:そうなのよ。