持ち帰り、お裾分け文化が寄与
結果、宮崎市の餃子の年間購入額(1世帯当たり)は、昨年の3670円から今年は4184円と大きく上昇した。
「温暖な気候の土地柄、夏の間は餃子の購入額が低い傾向にありましたが、2021年は活動の甲斐あって7月にぐっと数字が上がり、その後の落ち込みを補うことができました。お歳暮需要からか12月の購入額が大きく上昇したことから考えると、7月の上昇もお中元需要が要因にあったのかもしれません。また、宮崎市民は出来立ての餃子をお持ち帰りしたり、家族やお隣さんにお裾分けする文化が根付いていて、一度に何パックも買うことも普通です。これも、購入額を押し上げた大きな理由だと思います。
宮崎県は農畜産大国ということもあって、豚や野菜など餃子に使用する美味しい素材が手に入りやすい環境にあります。私たちの活動を通して餃子業界が盛り上がることで、ひいては宮崎県の第一次産業全体の活性化にもつなげられたらと思っています」
前出・小野寺さんも、「宮崎市民のお持ち帰り文化が家計調査の結果に大きく影響した」と分析する。
「家計調査の年間購入額には、冷凍餃子や外食での支出分は含まれません。その意味では、お持ち帰り文化が根付いている宮崎は、コロナ禍の巣ごもり需要も相まって、他の都市より有利だったのではないかと思います」
一方、昨年1位だった浜松市は、昨年の年間購入額3766円から、今年は3728円と金額に大きな差は見られないものの、結果は2位に。これについてどう受け止めているのか、浜松餃子学会の花枝一則さんが語る。
「宮崎市が1位ということで、まずはおめでとうございます。新たな餃子の街が誕生し、全国各地での餃子による街おこしが活気付くきっかけになることで、とても有意義な結果だと受け止めています。ただ、嬉しい気持ちもある反面、正直なところ残念な思いがあるのも否めません。浜松餃子学会は餃子好きの浜松市民が集ったボランティア団体で、餃子が浜松のPRになればという一心で活動しています。思い入れが強い分、2位という結果を手放しで喜ぶには複雑な心境ですね。
それでも、2020年と2021年の年間購入額に大きな差がなかったことには、少し安心しました。浜松市が購入額をぐんと落として、そこに宮崎市が鎮座したという構図ではないので、相変わらず浜松市民の餃子愛は変わっていないんだなと。また、2021年上半期に宮崎市が1位になって、本当なら年に1回話題になるところ、年の半ばで注目を浴びたことで、それが追い風になり宮崎市が購入額を伸ばしたという側面もあると思います。その意味で、浜松はその盛り上がりに及ばなかったのかな、と思っています。
2位になったことは残念ですが、浜松餃子が持っているポテンシャルはここ数年とても高くなったと実感しています。私たちはそれを広めるために浜松餃子を応援しています。浜松のソウルフードとしての魅力を伝えていくことが大切なので、今後も今までと同じように活動し、街おこしの一助となればと思っています」