「回らない寿司店」で働く人は「回転寿司チェーン」をどう見ているのだろうか。両者は値段も違えば客層も異なるが、同じ「寿司」という看板を背負って営業しているだけに、どう意識しているのか、気になるところだ。そうしたなかで、佐賀県唐津市に在住するネットニュース編集者・中川淳一郎氏は、自身がよく知る地元の寿司名店の店主が回転寿司チェーンとコラボしたという話を耳にした。はたして店主はどのような思いでコラボしたのだろうか。そんな疑問を持った中川氏が店主に話を聞いた。
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回転寿司チェーン「かっぱ寿司」が、2月22日から、「名店レシピ」第2弾商品の販売を開始している。2021年7月に「第1弾」が登場したが、前回同様、佐賀県唐津市のミシュラン2つ星店「鮨処つく田」の松尾雄二氏が監修した。
今回販売されるのは、『赤海老の梅昆布茶 塩天ばらにぎり』(一貫220円)、『九州天然さば 「ごまさば」にぎり』(二貫330円)、『九州天然さば 「ごまさば」炙り』(二貫330円)の3種類だ。
松尾氏は寿司店の大将でありながら、「料理研究家」と言ってもいいほどの探求者タイプの寿司職人だ。何と何が合うか、といった食材の組み合わせを日々考え、試行錯誤を繰り返して新メニュー開発に勤しんでいる。今回の『赤海老の梅昆布茶 塩天ばらにぎり』開発にあたっては、次のような公式コメントを発表している。
「かっぱ寿司さんのシャリと生の海老の相性がよかったので今回は迷わず生の海老を主役に選びました。店で提供している、生海老を昆布締めしたネタや、昆布茶と生海老を合わせた酒肴から着想を得て、シャリに昆布茶をまぶしてみたら面白いのでは?と試した所、今回の“うまい!”商品が誕生しました」
このように、シャリに合うタネや付随するものが何かを検討し尽くした結果、生み出された3商品だというが、私が疑問に思うのは、高級寿司店の大将がなぜ、回転寿司チェーンの寿司を監修したのかという点だ。