まん延防止等重点措置が実施されている東京都の重苦しい雰囲気のなかで、ひときわ異彩を放ち日夜カネが飛び交う場所、新宿歌舞伎町のホストクラブ。「夜の街の壊滅」が囁かれる一方、過去最高の稼ぎをあげたホストが登場した歌舞伎町ホストクラブの今について、15歳から歌舞伎町に通うライターの佐々木チワワ氏がレポートした。【全3回の第1回】
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コロナ2年目となった2021年度、全国に21店舗のホストクラブを展開する『冬月グループ』のホスト・降矢(ふるや)まさきは、歌舞伎町歴代最高記録である年間5億2000万円の売上を記録。今年1月も月間売上8500万円と、好調な滑り出しを見せている。
ほかにも、最大手ホストグループの『グループダンディ』からは、2021年に1億円以上売り上げたホストが31人輩出された。こうしたホストたちは年明けにホテル会場でド派手な新年会を終え、今年もさらに稼ぐぞと息巻く。
歌舞伎町の大手ホストグループはコロナで潰れた店舗の跡地を次々と買い取り、派手な街頭ビジョンと内装に数億円かけた店舗を乱立させている。
「こんな時代に安定なんて、所詮ないんだなって痛感して。だったら普通に働くより一か八かのホストのほうが夢があるなって」
そう語るのは、春から就職予定だった美容室がコロナ禍で潰れ、現在歌舞伎町のホストとして働いているシュン(仮名・21)。
「昼職のほうが安定してるっていう幻想が崩れましたよね。だったら今稼げるうちに稼いでしまおうと思って、カバンひとつでホストの寮に入った。
最初の3か月は寮費が無料だし、社員食堂でタダでメシが食える。頑張っていれば先輩がもっと豪華な店にも連れて行ってくれるし、服もくれる。ぶっちゃけその辺の会社より面倒見いいんじゃないですか。ホストにはミスをしたらすぐ来なくなるようなやつもいるし、結果が出ない人も多いけど、人材にガンガン先行投資できる業界ってココくらいじゃないですかね」
夜の街はコロナ禍によって打撃を受けたかに見えたが、実際は売れっ子ホストたちにより業界が潤い、人材育成に力を入れることが可能になっているようだ。コロナで潰れた一般店舗の跡地に飲食店やシーシャ(水タバコ)屋を展開するホストグループも多く、最近では『シンスユー』というホストグループがビルを丸々一棟借り上げた。