ロシアのウクライナ侵攻により、金融市場にも大きな混乱が生じている。こうした有事において、株や為替、コモディティ(商品)などの金融商品はどのような値動きをするのか。株やFX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、過去の事例を振り返りながら、今回のウクライナ有事に伴う主要市場の反応と今後予想される値動きについて解説する。
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マーケットはロシアがウクライナに侵攻した直後を底に反転しましたが、欧米諸国がSWIFT(国際銀行間通信協会)を介した制裁に乗り出すことに合意したことで、一喜一憂する状況が続いています。このようにマーケットが様々な材料で動いている時こそ、トレーダーは冷静に対応していくことが大切です。こうした有事において、金融商品がどう反応するのか、それぞれ見ていきましょう。
まずは株式市場です。危機が表面化したことで、米国株を中心に世界中でパニックのように売られましたが、その後は反発するという、過去にも散見された値動きが今回も発生しています。しかし、ロシアに対する金融制裁は、予想以上の規模となりそうで、ロシアからの報復措置の可能性まで考えると、どこで折り合いがつくのか先行きは見通せません。まだ方向感の見えにくい展開が続くと予想されます。
次に金利の動向です。米国債長期金利は、それまで2%近くで推移していたものの、ロシアのウクライナ侵攻後は方向感のない動きが続き、目先は下落しています。
金・原油の商品市場にも目を向けると、金価格は有事発生直後から大きく上昇。停戦交渉などの報道がされると、一旦上昇は落ち着いたものの、足元では再度反発しています。
原油は、1バレル=100ドルを突破し、その他エネルギー価格も大きく上昇。アメリカが自国の備蓄原油を市場に放出する可能性が浮上すると、原油価格は一時的に下落したものの、その後は再度上昇に転じるという値動きの荒い展開が続いています。今後、ロシアが制裁への報復措置として天然ガスの供給を停止する可能性も報じられており、天然ガス価格が急騰する可能性もあります。そうなれば原油市場にも当然影響を与えるため、原油価格は当面落ち着きそうにありません。