銀行はまずは各種「手数料」を新たに導入している。メガバンクではコロナ下で「紙の預金通帳」が一部有料化され、一定期間未利用であるなどの条件を満たした口座の維持管理に手数料が発生する仕組みが導入されたところもある。
欧州の銀行は各種の「手数料徴収」から、「口座維持手数料」と進み、ドイツの場合、毎月8ユーロ(約1000円)程度の口座維持手数料を取られるのが一般的になっている。同じ流れだ。
その先に来るのが預金に対するマイナス金利だ。シンクタンク・東短リサーチ社長の加藤出氏はこう話す。
「ドイツの場合、反発を恐れて最初は企業の預金だけにマイナス金利をかけ、次に一般の預金者の高額預金部分、その後、マイナス金利を適用する預金残高の基準を徐々に引き下げるなど段階的に導入が進められた」
日本でも、同様の順に動いていく可能性を考えるのが自然だろう。
「ただし、ドイツではマイナス金利で預金を減らされることに怒った預金者や消費者団体が訴訟を起こし、連邦裁判所が『銀行はマイナス金利を科す際に顧客の同意を得る必要がある』との見解を示したことで、銀行から預金者に同意を求める契約変更の書類が送られている。契約変更を拒否すると口座を解約されるケースもあり、いまや欧州の預金者は各国の銀行の口座維持手数料や金利を比較した専門のサイトで銀行を選んで預金を預け替える動きが急速に進んでいるようです」(加藤氏)
まさに預金者切り捨てだが、日本の預金者も今から、「銀行に預金すれば罰金」の時代に備える心構えが必要になる。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号