秋山博康 刑事バカ一代

「時計の電池を換えて」「ゴキブリが出た」…元警察官が明かす“110番珍通報”

ずっこけそうになる110番通報もあるという(イラスト/友利琢也)

ずっこけそうになる110番通報もあるという(イラスト/友利琢也)

 徳島県警を退職後は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと秋山博康氏の連載「刑事バカ一代」。秋山氏が管理職時代に経験したトホホな110番通報などについて綴る。

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 おはようさん、リーゼント刑事こと秋山博康です。早いもので、昨年3月末に徳島県警を定年退職して1年になる。

 警察人生の大半を刑事として過ごしたワシだが、最後の8年間は現場を離れて管理職になった。いつまでも若い連中とバリバリ事件捜査をしたかったが、警察人事は順送りだからまあ仕方ない。

 管理職としては徳島県警察本部の通信指令課を皮切りに、鑑識課、地域課、生活環境課(サイバー犯罪対策室)で次長を務めた。もちろん、管理職になっても自慢のリーゼントはそのままや。

 地域課次長時代は全国で交番が襲撃される事件が続発し、ワシは徳島県内すべての交番や駐在所をせっせと回って得意の逮捕術を教えた。お巡りさんを暴漢に見立て、「オンドリャ~!」と刺股をふりかざして捕捉法を披露すると、刺股の使い方を知らない若い警察官が目を白黒させた。

 当時は200人を超える若手警察官の個人面談も行なった。若い子から「秋山次長」ではなく「リーゼント次長」と呼ばれ、記念撮影をせがまれることもあった。

 管理職で最初に拝命した通信指令課は、事件や事故の通報を受ける最前線だった。110番は市民と警察をつなぐ重要なホットラインのため、受け手は一言一句も聞き逃さないよう、常に全力で電話に応対する。

 だが、中にはおかしな通報も少なくなかった。「はい、110番です。事件ですか? 事故ですか?」「あの~、目覚まし時計の電池が切れたので、電池を換えてほしいんやけど……」

 なんやソレ!? ずっこけそうになるが立場上「アホか!」と怒鳴るわけにもいかん。「それは警察の仕事ではないので、ご家族に相談してください……」と丁重にお断わりするしかなかった。

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