「今年に入ってから電気代やガス代、パンやパスタ、コーヒー、ハム・ソーセージなどあらゆるモノが値上げ。それだけでも大変なのに、これからまだ上がるんでしょ? 新型コロナが落ち着いたら家族旅行に行くつもりだったけど、それどころじゃなくて……」(都内在住の40代主婦)
ため息をつきたくなるような、相次ぐ値上げラッシュ。4月以降の値上げ予定も続々と発表されている。これまでの値上げはコロナ禍による世界的な生産や物流の停滞、原油価格の上昇などによるものだったが、これから起きる値上げの最大の理由は、2月24日に突然始まったロシアによるウクライナ侵攻にある。ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志さんが説明する。
「両国は距離的に日本から離れていますが、われわれが使っている身近な商品への影響は甚大です。特にロシアはエネルギー資源や穀物の輸出大国。ロシアからの輸入が滞るリスクによって、いろいろなモノの価格が上がるのです」
ロシアに対する経済制裁として日本や欧米各国が打ち出した「SWIFT(国際銀行間通信協会)」からの除外による影響も大きい。
SWIFTは国際金融の送金を手がけるネットワークで、世界の1万1000以上の金融機関が利用している。SWIFTから締め出されたロシアは国際決済ができず、企業は貿易の決済が困難になる。
ロシア経済にとって大打撃だが、その措置は制裁を行う側にも痛みを伴う。値上げという形で、私たちの生活に跳ね返ってくるのだ。経済評論家の加谷珪一さんが言う。
「すでに食品やエネルギー関連が値上げされていますが、これはまだウクライナ侵攻とは無関係のものがほとんどです。ウクライナ・ショックの物価への影響は、これから広範囲に起こることを知っておいてほしい」
ロシアからの原油やLNG(液化天然ガス)の輸出が滞れば、すでに高騰しているガソリン価格のさらなる値上がりが予想されるだけでなく、ガス代や電気代など光熱費にも影響が出てきそうだ。同様に、小麦などの穀物価格への影響も懸念される。そうした原材料価格の高騰が、食料品価格に転嫁されるのも時間の問題だろう。ウクライナ・ショックの影響で大打撃を受ける私たちの生活。いまから値上げラッシュを迎え撃つ心の構えをしておきたい。
※女性セブン2022年3月24日号