2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻により、ガソリンや灯油などのエネルギー関連、うに、サーモンといった水産物、小麦や飼料用トウモロコシといった穀物など、あらゆるものの価格が上昇する「物価爆騰の波」が襲来している。さらに、電気代やガス代などの光熱費の価格も、今後上昇が加速することが予想されるという。ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが話す。
「日本は石油、石炭、LNG(液化天然ガス)を、比率は高くありませんが、ロシアからも輸入しています。仮にウクライナ情勢が収まったとしても、電気やガスの家計への影響は長期にわたると思われる。大手の電力会社やガス会社だけではなく、プロパンガスもすでに値上がりしています。このままいくと気温が高くなる夏には、光熱費は前年比1.3倍になるかもしれません」
エネルギーコストの上昇は、生活物資全般の生産コストアップにつながるから痛い。経済評論家の加谷珪一さんが話す。
「石油が上がればプラスチックや鉄鋼の加工費、輸送費も値上がりします。家電製品も、パンなどに比べれば影響は大きくありませんが、値上がりは避けられない」
ニッセイ基礎研究所上席エコノミストの上野剛志さんも続ける。
「原油は化学繊維や包装材の原料でもあるので衣類やゴミ袋、不織布のマスクなどにも上昇圧力がかかります。お弁当やカップ麺などは容器代のアップも値上げの理由になる。さらに大きな影響を受けそうなのが、クリーニング代。洗濯の溶剤は原油由来のものですし、ハンガーやビニールも原油由来です。重油でボイラーを動かしてアイロンをかけているので、さまざまな面からコストが上昇しています。春以降に値上げに踏み切るお店も出てくるかもしれません。冬物のクリーニングを出すなら早めがおすすめです」
すでにプラスチック製弁当容器の仕入れ値が10%アップしている弁当店があり、洗濯溶剤も2月に10%値上がりしているという。ともにこの春には、その影響で10%ほどの値上げに踏み切る店もあるかもしれない。
原油高による紙の製造コストの上昇から、花王は4月1日出荷分から紙おむつ『メリーズ』を現行価格の約10%値上げする。ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの値上がりも必至の状況だ。