自動車、家電、歯科治療…
また、ロシアは金属資源の重要な生産国でもある。
「世界生産量の4割を握っているパラジウムは、車の排ガス浄化装置に使われています。その供給が途絶えると、車の生産に影響を与えます。また、ロシアには世界有数のアルミニウム製造メーカーがあるので、このままいけばアルミ製のキッチン用品や自転車などの価格が上がるかもしれません。
加えて、ウクライナは半導体製造に欠かせないネオンガスのシェアが高い。その供給が途絶えて在庫がなくなると、すでに世界的規模で起きている半導体不足にさらなる拍車がかかり、車やさまざまな家電製品価格の上昇や品不足につながります」(上野さん)
パラジウムは銀歯の材料にも使われているため、歯科治療にも影響が及ぶ可能性がある。すでに直近1か月の仕入れ価格が1割上がっている歯科医もあるという。
都内のキッチン用品店では春頃には一部商品で10~15%の値上げを検討している。
ロシアが世界有数のダイヤモンドの産出国で、世界全体の約3割を占めていることから、価格が高騰しそうだ。
「日本の木材・製材の輸入はかになど海産物より多い。海上輸送費用の高騰とコロナ禍による世界的なコンテナ不足も木材・製材価格に転嫁され、住宅の建築コストは夏には1割上がると予想されます。すでに工事が始まっていても、完成時期がずれるかもしれません」(丸山さん)
生活のありとあらゆるものに影響するといっても過言ではない、ウクライナ・ショック。私たちは相次ぐ値上げにどう備えればいいのか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが話す。
「特に現状で影響が大きいのは、うにやいくらなどの海産物。賞味期間が長い冷凍できるもの、ストックして置いておけるものは必要があれば買いだめを検討してもいいかもしれません。ただし生鮮食品など期限が短いものは、消費サイクルが合わなければかえって無駄になってしまうので要注意です」