いま受験業界で大きな関心を集めているのが、公立としては日本初となる小中高一貫校「立川国際中等教育学校附属小学校」。2022年4月に誕生する。12年間を通じて一貫した教育を行う同校では、小学1年生から週4回の英語の授業があり、第2外国語も設定。初年度の倍率は30倍にも達するほどの人気になったが、そもそも「小中高一貫校」の学校生活はどのようなものか。そこにはどんなメリットとデメリットがあるのか。関東地方のある小中高一貫校・A学園(私立)に通った卒業生たちに話を聞いた。
濃密な人間関係は“諸刃の剣”か
小学校からA学園に通ったY氏(40代/男性)は当時を振り返り、こう明かす。
「一番良かったのは、一生友人でいられる仲間と出会えたことです。小学校は3クラス、中学、高校でも4クラス(中学で入学する生徒もいる)しかなかったので、顔と名前は全員分かりますし、卒業後も簡単に交友が途切れない。数年前、お世話になった先生が亡くなった際には、SNSですぐに情報が回り、学年の半数近くの同級生が通夜に集まりました。
運動部や文化系のクラブは上下の連携があり、小学生が中学生に混ざって練習したり、高校生が小学生の練習をサポートしたりする光景は、小中高一貫校ならでは。小学生の頃は、中学生や高校生と触れ合うと大人になった気がして、とても嬉しかったのを覚えています」(Yさん)
強固な人間関係は、卒業後にも活きてくる。親子2代にわたってA学園に通った会社経営者・Iさん(30代/男性)がその恩恵を語る。
「狭い環境で過ごしたことが仲間意識を生むのか、OBの愛校心がやたらと強いのが特徴的。学年がどれだけ離れていようが、『A出身です』というだけで一気に距離が縮まります。卒業時に全OBの住所、進学先、就職先が掲載された名簿が配られるので、それをビジネスで活用したことも一度や二度ではありません。見知らぬ相手でも、『A出身で……』と言えば、話ぐらいは聞いてもらえます」(Iさん)
A学園は同窓会の活動も活発で、会員同士が卒業年度をまたがって活発に交流しており、校舎の建て替え、遠足で使う観光バス、修学旅行の手配、学生食堂の経営など、OBが勤める企業が関与するパターンは数知れず。○○周年の記念事業では、瞬く間に数億円の寄付が集まったというから凄まじい。