事件を世に訴えるポスターも作成した。最初は刑事仲間と《この男、2人殺して焼いた顔》とのキャッチコピーを考案したが、上司に「アホか!」と一蹴され、大阪芸術大学でデザインを専門にする先生に依頼した。そこで生まれたのが《おい、小池!》というインパクト絶大の手配ポスターや。
このポスターは日本中で話題となったが、捜査本部には「ウチの子供がいじめられるのよ!」と小池姓の方からの苦情が相次いだ。被害者と遺族のため何としても犯人を逮捕したいと丁寧に説明して、納得してもらうしかなかった。
図らずも、小池事件によってワシは全国的に名が知れた刑事になり、日本警察史に残るポスターが誕生した。だがそれも、ワシにとっては長い長い戦いの序章でしかなかったんや。ほなっ、また!
【プロフィール】
秋山博康(あきやま・ひろやす)/1960年7月、徳島県生まれ。1979年、徳島県警察採用。交番勤務、機動隊を経て刑事畑を歩む。県警本部長賞、警視総監賞ほか受賞多数。退職後は犯罪コメンテーターとして活動。YouTube「リーゼント刑事・秋山博康チャンネル」が話題。最新刊『リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録』(小学館新書)が3月31日に発売予定。
※週刊ポスト2022年4月1日号