●6種複合免疫療法(CSC):がん細胞の親玉・がん幹細胞も攻撃
「6種複合免疫療法(BASIC)」に「樹状細胞ワクチン療法」を付加したのが、6種複合免疫療法(CSC)だ。
「これは自然免疫と獲得免疫の両方を強化します。『樹状細胞ワクチン療法』に使う人工のがん抗原は、WT1ペプチドといい、これはすべてのがん細胞に発現するがん抗原の1つなので、さまざまな種類のがん治療に使えます。WT1ペプチドは、正常細胞にはほとんど発現しないので、正常細胞へのダメージも最小限に食い止められます」
しかも6種複合免疫療法(CSC)では、がん細胞だけでなく、がん幹細胞まで攻撃できるという。
「がん幹細胞とは、高い増殖力を持つがん細胞の親玉のようなもので、この幹細胞が死滅しない限り、がんは完治しません」
そのため、この療法はがん治療を受けている人にすすめたいという。こちらも標準治療との併用が基本。医師と相談しつつ進めよう。
【※「三番町ごきげんクリニック」では、上記すべての治療法を行っているわけではなく、同仁がん免疫研究所と共同で「6種複合免疫療法(BASIC)」と「6種複合免疫療法(CSC)」を行っている】
高濃度ビタミンC点滴療法:抗酸化作用でがん細胞を封じ込める
ここまでは免疫療法を中心に紹介してきたが、その他の治療法も紹介しよう。
「がんに対するビタミンCの研究は、1970年代から行われていましたが、実際に『高濃度ビタミンC点滴療法』が広く行われるようになったのはごく最近のこと。2005年に、アメリカ国立衛生研究所(NIH)から、ビタミンCががん細胞に効くメカニズムを示す論文が発表されてからです。その後、海外を中心に多くの臨床試験が行われています」
ビタミンCを大量に静脈内に投与すると、体内に過酸化水素が誘導され、強い酸化作用によってがん細胞が死滅する一方、過酸化水素を分解する酵素をもつ正常細胞はダメージを受けないことが示されたのだ。
「海外の臨床試験により、抗がん剤治療と併用すると副作用が軽減することも報告されていますし、放射線照射による皮膚の黒ずみも回復が早くなります」
澤登さんは、自由診療は標準治療との併用が効果的とするが、この療法の場合、単独でがんに効く症例もある。
「たとえば、リンパ腫や白血病などの血液疾患、KRASとBRAFの遺伝子変異が認められる大腸がんには、高濃度ビタミンCの効果が期待できるという論文もあります。この遺伝子変異は、日本人の大腸がんの患者さんの3~4割に見られます。また、子宮頸がんの一歩手前の状態である細胞の異形成にも効果があるようです」
高濃度ビタミンC投与により、がんの新生血管が減少し、増殖を抑制したという報告もある。
「がん組織には、新しい血管をどんどん作り、その血管からの栄養で増殖していく性質がありますが、私たちが行った研究では、ビタミンCにはこの血管新生を阻害する働きがあることがわかりました」
1回の「高濃度ビタミンC点滴療法」にかかる時間は1~2時間で、費用は2万円~。病状にもよるが、週に2回から始めて、週に1回、2週間に1回というように回数を減らしつつ、1年以上通う人が多いという。