怒った隣人になすすべがなかった
そこまで大きな事件でなくとも、騒音トラブルは身近に起こり得る問題だ。リアルケースを見てみよう。築50年の木造アパートに住んでいた21才の女子大生は、昨年、隣の部屋に住む夫婦に怒鳴り込まれたという。
「私の誕生日に友人が2人来てくれて、午前0時ちょうどにケーキにろうそくをつけてわあ!って喜んだ瞬間です。ものすごい勢いでドンドンドン!って玄関を叩かれて。豹柄のキャミソールにガウンを羽織った奥さんとパンチパーマの旦那さんから『トラック運転手してる夫が寝不足で事故を起こしたらあんたのせいだ、どうしてくれる』とか『ぶち殺したるぞ』とかめちゃくちゃ罵られました」
その剣幕に思わず泣いてしまった女子大生だったが、普段は相手の生活音が聞こえてもがまんしていることや、ここまで怒鳴られる筋合いがあるのかという気持ちが抑えられず、つい言い返してしまったという。
「『私、今日誕生日なんです』と言ったら、奥さんがキレながら『それはおめでとう』って言ってくれて(苦笑)。いまなら笑えますけど、何をされるか怖すぎて。契約があと1年残っていたんですが、すぐに引っ越しました」
なお、前出の「大東市女子大生殺害事件」では、同じマンションに住む男子学生が、男のただならぬ様子に危機を感じ、交番に相談したのちに引っ越しをしていた。危険な相手に遭遇したら対峙しようと考えるのではなく、逃げるという選択肢もあるのかもしれない。
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2022年4月7・14日号