小麦粉の代わりとして、注目される「米粉」。4月1日から、干ばつによる北米産の不作などを背景に政府が買い付けて国内の製粉業者に売り渡す輸入小麦の価格が17.3%も値上げとなり、過去2番目の高値水準となる。これがパンをはじめ小麦粉を使った製品の価格にも影響しはじめている。
さらに、ロシアによるウクライナ侵攻も小麦の価格にダメージを与えそうだ。ロシアは世界3番目の小麦生産国であり、今回の侵攻で各国がロシア制裁の姿勢を強めて輸入を制限すれば、世界的に需給が逼迫するのは必至だからだ。
次の輸入小麦の政府売り渡し価格は10月に見直されるが、さらに値上げが続く可能性は高い。小麦製品の高騰も止まらないかもしれない。
そうしたなかで注目されるのが、米粉の存在だ。最近、パンやうどんをはじめ、これまでは小麦粉一辺倒だった製品に米粉が使用されてスーパーマケットなどの店頭にも並ぶようになっているし、材料としての米粉そのものも市販されるようになってきている。
「大きなきっかけになったのが、グルテンが含まれる食品を摂らない『グルテンフリー』という健康法が注目されたことだと思います。小麦粉に多く含まれるグルテンは、米粉には含まれていません」と、日本米粉協会では説明する。
製粉技術の革新も需要拡大を後押ししている。
「米粉といえば、せんべいや団子の材料となる上新粉が一般的でした。それまで粒が大きくてパンなどの材料には適さなかったのですが、新潟県が『微細製粉技術』を開発したことで、パンにも使える細かい米粉をつくることができるようになりました」と言うのは、米粉を製造販売する新潟製粉株式会社の藤井義文・常務取締役。同社は、その技術で米粉の普及拡大をはかるために1998年に設立されている。
2009年からは、米粉専用のコメを新規需要米として減反田で栽培することが認められた。それまでは精米中に砕けるなどして米飯用に適さなくなった、いわゆる「くず米」しか米粉の原料にできなかった。それが専用のコメを使えるようになったことで、品質は格段に向上したという。