物価上昇の大波が日本に押し寄せている。このインフレの時代には、国民もお金の使い方、資産の守り方を根本から変えることを迫られる。
バブル経済崩壊から日本経済は長いデフレが続き、「失われた30年」と呼ばれる。それゆえ、とくに40代以下の世代はインフレになった時、生活をどのように組み立てたらいいのかわからない。資産運用コンサルタントの岡山憲史・マーケットバンク代表が語る。
「米国では個人金融資産の約50%が株と投資信託で運用されている。長年インフレ経済が続いたから株価が右肩上がりとなり、株や投資信託を持つことで資産を増やせた。
それに対して、デフレが続いた日本では個人金融資産の5割は利回りがほとんどない現預金であとは保険など。株や投資信託は約15%に過ぎない。デフレ下なら、モノの価値が下がってお金の価値が上がるから、現金や利息ゼロの預金で持っていても資産が目減りすることはなかった」(岡山氏)
だが、インフレの時代になるとモノの価値が上がり、お金の価値が下がる。貯蓄のほうがリスクが大きくなるのだ。
日銀の物価目標である実質2%のインフレが10年続くと現金の価値は18%下がり、20年続けば約33%も下がる。100万円が実質67万円の価値しかなくなる。
財産を目減りさせないためには「資産の組み換え」の発想が重要になる。お金をモノに変えるのだ。
「インフレ経済の米国では不動産価格が徐々に上昇し、持ち家の資産価値が高まり、個人消費拡大につながった。収益力のある不動産を持つことはインフレの対応策の一つです」(同前)