昨年3月末に徳島県警を定年退職し、今は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと、秋山博康氏(61)。現職時代から“公務員”とは思えないような特徴的な髪型で注目を集めてきた秋山氏だが、そのスタイルはロック・ミュージシャンの矢沢永吉さんに憧れて始めたものだったという。一体どこに惹かれたのだろうか?
秋山氏の人生に多大な影響を与えたのが、1978年に発売され矢沢さんの初の著書『矢沢永吉激論集 成りあがり』(現在は角川文庫)だった。当時まだ28歳だった矢沢さんの熱いメッセージに支持が広がり、同書は瞬く間にベストセラーとなった。そのカリスマ的な魅力は、多くの若者の生き方に影響を与えたが、矢沢さんに憧れて40年以上、リーゼントを貫いてきた秋山氏もその一人だった。
そうした経緯もあって、秋山氏のYouTubeチャンネル〈リーゼント刑事・秋山博康チャンネル「11時09分、現逮じゃ!」〉に3月31日にアップされた動画では、『成りあがり』の担当編集者との対談企画を実現させている。
『成りあがり』が1978年に出版された時の担当編集者が島本修二さん(75)だ。秋山氏も3月31日に、初めての著書となる『リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録』を上梓したばかりで、その刊行に合わせて、島本さんに『成りあがり』の制作秘話を聞く内容の動画となっている。
そこでは、秋山氏の“永ちゃん愛”、そして担当編集者だからこそ知る、矢沢永吉さんの意外な素顔と、当時の不良少年少女の“人生のバイブル”とも呼ばれた伝説の一冊が作り上げられるまでの、知られざる貴重な逸話が続々と飛び出したのだ。
まず、収録現場では秋山氏が“永ちゃん愛”を熱く語った。
「14歳の時、キャロルの歌を聞いて鳥肌が立った」「レコードを買って、ジャケットで見た永ちゃんと同じリーゼントにしたんです」「去年、徳島県警を定年退職したけれど、今もリーゼントを貫いています」と話す秋山氏が、『成りあがり』を手にしたのは高校3年生、18歳の時のこと。柔道部の後輩からプレゼントされたといい、すでに入学が決まっていた警察学校に行く前に何度も繰り返し読んだのだという。
「『成りあがり』を読んで、自分も日本一の刑事になってやろうと思ったんです」