そう熱く語る秋山さんの目の前には、まさにその本の編集を担当した島本さん。もともとは総合男性誌『GORO』の取材で矢沢さんに会い、取材を重ねるうちに書籍化の話がまとまっていったという。構成を手がけたのは、当時まだ20代だったコピーライター・糸井重里さんだった。書籍をまとめるにあたって、島本さんは糸井さんに対して、「矢沢永吉が目の前でしゃべっているような原稿」を目指したいと伝えたのだという。島本さんはこんな風に振り返った。
「矢沢永吉が目の前にいて、唾を飛ばしてしゃべっているように読める原稿にしたいという話をして、何度かやり取りを重ねて原稿をつくっていきました」
「当時のタレント本は、本人がしゃべって実際にはライターが書いているにもかかわらず、それを伏せているようなものが多かった。私はそれがなんかカッコ悪いなと思っていました。矢沢さんの本はそうはしたくなかったので、タイトルに『激論集』と入れたし、糸井さんにあとがきも書いてもらいました」
島本さんは「今でも2~3年に一度、『成りあがり』を読み返して、元気をもらうんです」とも明かした。秋山氏のYouTubeチャンネルの動画では、そんな島本氏との対談で『成りあがり』にまつわる様々なエピソードが明かされている。今年、デビュー50周年を迎える矢沢さんは、今なお多くの人の生き方に影響を与えていることがわかる。