吉田みく「誰にだって言い分があります」

想像と違った? 都内で一人暮らしを始めた大学新入生・新社会人たちの「お金の現実」

一人暮らしのコストは思いのほか大きい(イメージ)

一人暮らしのコストは思いのほか大きい(イメージ)

 進学や就職などで一人暮らしを始める人が多い季節だが、新生活はめでたいことばかりではない。一人暮らしにかかる費用の高さに直面し、「こんなにかかると思っていなかった」と驚く人も多いのではないだろうか。また、コロナ禍の影響で、収入が思うように得られなくなったケースもあるだろう。一人暮らし生活の理想と現実の違いとは? この春、東京都内で一人暮らしを始めた2人の男女に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

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 日本学生支援機構の最新調査(2020年11月実施)によると、下宿やアパート等で暮らす学生の、1年間の住居・光熱費は全国平均49万7700円(大学昼間部)だった。食費や娯楽・嗜好費などを加えた生活費全体では同110万8400円。学生の一人暮らしには、学費以外にもこれだけの生活費がかかる。

 また、全国賃貸管理ビジネス協会の最新調査では、ワンルーム(1K、1DK、1LDK含む)賃料の全国平均は約5万円(2022年2月調査)だった。一般的に、家賃は収入の3割程度に抑えるのが目安とされている。仮に5万円程度の家賃を払う場合、毎月20万円近い金額を、学生なら仕送りや奨学金、バイト代などで工面しなくてはいけない。

 大学進学をきっかけに東北地方から都内に引っ越してきたアオイさん(仮名、19歳)は、両親の勧めで家賃8万円のオートロック付きマンションの1室を借りたそうだ。

「最初は管理費・共益費込み6万円の予算で探していましたが、気に入った物件を見つけることができませんでした。とはいえ、引っ越さないわけにもいかず、最終的には予算を上げて探すことになったんです」(アオイさん)

 当初、アオイさんが見に行った物件は、オートロックなしのアパートや、線路沿いで電車の音が気になるところばかりだったという。予算内に収まるシェアハウスも考えたそうだが、両親から止められたそうだ。

「両親は『安全な場所に住んでほしいから、家賃は気にしなくていい』と言ってくれましたが、我が家は決して裕福な家庭ではありません。私のために無理をしてくれていると、すぐに分かりました。都内で一人暮らしをすることの敷居の高さを痛感しました」(同前)

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