吉田みく「誰にだって言い分があります」

想像と違った? 都内で一人暮らしを始めた大学新入生・新社会人たちの「お金の現実」

 少しでも両親の負担を軽くしたいと思ったアオイさんは、一人暮らしと同時に始める予定のバイトで、差額の2万円を埋めようと考えたという。しかし、それは簡単にできることではないと気づいたそうだ。アオイさんが言う。

「飲食店やコンビニなどの面接を受けましたが、採用されませんでした。コロナの影響もあるのでしょうか。このままでは両親の負担を軽くするどころか、学費や家賃以外の生活費まで仕送りをお願いしなくてはいけないかもしれません」

 バイトが決まらないことを両親には話せていないというアオイさん。現在は、短期の派遣バイトで倉庫作業をしているそうだ。雑費が引かれ、手取りは1日6000円程度。「楽しみにしていた東京生活が、まさかこんな形でスタートすると思わなかった。まず生活できるのかが不安で、学業に専念できないかもしれない」と、嘆いていた。

社会人になるのを前に金銭感覚が変化

 4月から都内の人材紹介会社で働くことが決まり、先立って2月に長野県から引っ越してきたワタルさん(仮名、22歳)。初めての一人暮らしでは、自分の理想の生活を追求しているという。

「実家での自粛生活中に、SNSで一人暮らしの人のオシャレな投稿を見たのがきっかけです。都内での就職を機に、理想の生活を現実のものにしたかった」(ワタルさん)

 ワタルさんが借りたのは、家賃約6万円の1LDKのアパート。SNSでチェックした人気のプチプラ家具をレイアウトして、オシャレな空間に仕上げたという。しかし、このことがきっかけで、ワタルさんの金銭感覚は徐々に変化し始めたようだ。

「『部屋着もこだわりたい』とか、『芳香剤は有名ブランドのものを使いたい』とか……。どんどん自分の理想が高くなっていきました。せっかく買うなら気に入ったものを買ったほうが良いと思って、お金をたくさん使ってしまった」(同前)

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