民法改正により、4月1日から成人年齢が18歳へと引き下げられた。社会に出たばかりの若者が被害に遭う金銭トラブルはこれまでも多く報告されているが、18歳成人制により、これまで「10代だから」「未成年だから」と許され、守られてきた法的な後ろ盾がなくなるケースがある。
折あしく到来したコロナ禍により、我々の「暮らしの風景」は一変。犯罪の形まで変えつつあるが、「時代を生き抜く知恵」を網羅した書籍『ウィズコロナ時代に後悔しない 暮らしの新常識109』(小学館)では、なかでも「未成年者を標的にした犯罪」に警鐘を鳴らす。
同書が国民生活センターの調べをもとにまとめたところによると、18、19歳の「契約購入金額別相談」で最も多いのは「10万〜50万円未満」(30.2%)だが、「100万円以上」のケースも8.5%あった。同じく20〜24歳では「1万〜5万円未満」が39.2%で最も多いことから、若ければ若いほど、高額な商品やサービスの契約トラブルに巻き込まれやすいことがわかる。
国民生活センターのホームページには10代〜20代の消費生活相談事例として次のような事例が紹介されているという。
「未成年時に投資話を持ちかけられ、成人してすぐ必要機材を借金で契約させられた」
「無料エステ体験後に別室で執拗な勧誘を受け、高額コースを契約してしまった」
「SNSで知り合った人に儲かる情報商材を勧誘されて契約したが儲からなかった」
これまでであれば20歳未満は未成年とされ、高額な金銭契約などは親の同意を得ずに契約した場合「未成年者取消権」によって契約を取り消すことができた。
今回の民法改正で、18歳以上が“契約に対して責任を負う”成人という立場になった。つまり、18、19歳は10代であっても一度契約してしまえば未成年者取消権を行使できなくなってしまうことになる。