一人暮らしの部屋探しにおいて、何より重要な要素なのが家賃。予算をもとに、立地、間取り、設備など、細かい部分の取捨選択に迫られるのが現実で、「バス(風呂)とトイレは別か一緒か」でも、家賃は大きく変わってくる。“譲れない条件”としてバス・トイレが別になった物件の人気は根強いが、バス・トイレ・洗面台がすべて一つの空間にある「3点ユニットバス」なら、他が同じような条件でも安く設定されていることが多い。
では、実際の住み心地はどうなのか。「住んでみると意外に快適」という声もあれば、「予想以上に使いにくい」という声もある。特に一人暮らしの住まい選びの候補に入る、3点ユニットバス物件。実際に住んだことのある人たちに話を聞いた。
住んでみてわかった「便座」問題
新型コロナウイルスが感染拡大する直前、3点ユニットバスの物件に引っ越したというのは、IT企業に勤務する20代男性・Aさんだ。住まい選びの際は、設備より立地を優先した。
「当時、満員電車から解放されたくて、少しでも通勤時間を減らすことが最優先課題でした。でも、都心部になるほど家賃が高い。その時に不動産屋が紹介してくれたのが、築30年の3点ユニットバスの物件でした」(Aさん)
それまで実家暮らしで、一人暮らしの経験がなかったAさんは、「帰って寝るだけだから」と、3点ユニットバスの使い勝手についてあまり深く考えなかった。そのため、実際に住み始めてからは想定していなかったこと次々と起きたという。
「個人的に想定外だったのは温水洗浄便座を設置できないことでした。後付で電源不要の湿気に強い特殊なタイプをつけられることまでは調べましたが、僕にとっては高額で、今のところ保留中。ウォーム便座でもないので、真冬は便座が冷たいのもつらいです。
便座カバーをしようと思っても、水がかかるかもとか、洗濯のことを考えるとやや億劫。風呂とトイレと一緒なので、においや湿気がこもりやすい。最初はシャワーカーテンも付けていなかったので床がビチャビチャに濡れるし、トイレットペーパーがしわしわになったことも……」(Aさん)
あとは事前にわかっていたことだが、「バスタブにゆっくり浸かりたい人には向かない」と感じたAさん。だが、3点ユニットバスの難点を理解したうえで、「風呂とトイレをまとめて掃除できるので、慣れればむしろ楽。一人暮らしならありだと思っています」という。