東京証券取引所の大再編が、投資家から注目を浴びている。これまでの「1部」「2部」「マザーズ」「ジャスダック」は廃止・再編され、新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つのカテゴリーになった。外国人投資家から見てこれまでの分け方は曖昧に見えていたが、「プライム」が厳しい基準が設けられたことなどにより、日本市場が見直される可能性が指摘されている。
そうなれば、短期的な株価上昇による売却益だけでなく、日本経済が長期的な上昇カーブを描くことの恩恵も受けられそうだ。長期保有に向く銘柄にも目を向ける必要があるだろう。その際、個人投資家にとって魅力的なのが「高配当」「好優待」の銘柄だ。
経済アナリストの馬渕磨理子氏が推すのは今後、「増配」が期待できる業界である。
「今後は、円安メリットの恩恵を受ける自動車産業を中心に、製造業の業績が堅調に推移すると予測されます。後ズレしている『挽回生産』が来ることも考えれば、製造現場に人材派遣をする企業にも注目したい。注文住宅や戸建て需要の高まりからも、業績が良く配当利回りの高い企業には人気が集まりそうです」
製造業向け人材派遣が主体のアウトソーシング、自動車向け部品の設計・開発と技術者派遣が主力のアビストのほか、住宅会社のタマホームも高配当でかつ好優待の銘柄だ。
こころトレード研究所所長の坂本慎太郎氏も増配と「継続的な高配当」への期待感を重視する。
「土木や不動産開発を手がけるゼネコンの大豊建設が注目です。“物言う株主”のシティインデックスイレブンスが約39%保有する筆頭株主のため、“増配圧力”が高まる見通しです。紙・パルプ用フェルトで国内市場を二分する大手のイチカワは、ほぼ寡占業種のため継続的な高配当が期待できます」
また、各識者が「好優待」銘柄として挙げた企業の特徴としては、実質“現金”と言える「QUOカード」を年数回もらえる企業が目立った。
混迷を極める世界情勢のなか再始動した東証。長く低迷する日本経済復活の糸口となるか。
※週刊ポスト2022年4月22日号
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