船越:それこそ僕がドラマでやりたい内容ですよ。スマホも使えないベテラン刑事が巨大なサイバー犯罪と対峙し、犯罪集団を検挙する物語。ドラマだからこそ警鐘を鳴らせることもあるのではないでしょうか。
僕は刑事ドラマの先に犯罪の抑止があると思っています。ただのエンターテインメントではいけない。とりわけオレオレ詐欺などの特殊詐欺はドラマで手口を公開すれば注意喚起になるはず。「模倣犯が出る」との意見もありますが、特にお年寄りには積極的に犯罪の手口を教えたほうが被害を未然に防げるのでは。
秋山:同感です。警察は検挙と防犯が車の両輪だけど、どれだけ捕まえても下っ端の連中ばかりだと犯罪を減らせません。できるだけ世間に注意を呼びかけ、防犯対策を徹底すべきやと思います。
(第3回につづく)
【プロフィール】
船越英一郎(ふなこし・えいいちろう)/1960年7月、神奈川県出身。1982年俳優デビュー。以来、ドラマ・映画で活躍。「サスペンスドラマの帝王」の異名を持つ。『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)『十津川警部の事件簿』(テレビ東京系)など、数多くのドラマで刑事役を熱演。
秋山博康(あきやま・ひろやす)/1960年7月、徳島県生まれ。1979年、徳島県警察採用。交番勤務、機動隊を経て刑事畑を歩む。県警本部長賞、警視総監賞ほか受賞多数。退職後は犯罪コメンテーターとして活動。YouTube「リーゼント刑事・秋山博康チャンネル」が好評。初の著書『リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録』(小学館新書)が3月31日に発売された。
※週刊ポスト2022年4月22日号